「ソフトクリーム」というと、身近で気軽に食べられるスイーツのイメージでは? しかし、じつは近年の進化でさまざまなバリエーションが誕生している、とても奥深い食べ物でもあるのです。「でも、こんな寒いのにソフトクリーム?」……いえいえ、今だからこそ楽しめるソフトクリームもたくさん!  今回は、年間300個以上ものソフトクリームを食べ歩き、それらを紹介するブログ「ソフカツ」を運営する高久早苗さんに、ソフトクリームの楽しみ方についてたっぷり語ってもらいました。

Q.ズバリ、ソフトクリームの魅力はなんでしょう?

「一期一会」なところです! ソフトクリームはその場でサーバーから出てきたものを食べるので、アイスクリームと違い、持ち運びやお取り寄せができません。同じお店でも気温やサーバーの調子、ソフトクリームミックスの混ざり具合、作る人の技量等によって、全然違うソフトクリームになるので、本当にそのソフトクリームは“その時”にしか食べることができないのです。

 

また、日本には“ご当地ソフト文化”があります。御朱印のような感覚で旅先のコレクションになりますし、後から写真を見返す楽しみもあります。

Q.ご当地ソフトを食べに遠くまで出かけることもあるのでしょうか?

ソフトクリーム旅行にも出かけます。昨年はソフトクリーム友達「ソフ友」と「ソフ旅」をしました。夜行バスで冬の金沢へ行き、一日で20個くらい食べてまた夜行バスで帰るという、過酷ながらも充実した旅でした。また、今年はソフトクリームのために一人でシンガポールにも行きました。2泊3日で12個だったと思いますが、もっともっと食べたいお店があったので不完全燃焼ですね。

「和菓子 村上 金沢本店」の小豆ソフトクリーム 出典:そとくんさん

Q.食べる頻度はどのくらいですか?

平日は仕事をしているので、週末にまとめて食べることが多いです。2018年はすでに400個を超えているので、平均すると毎日1個以上食べていることになります。

Q.ソフトクリームの美味しい食べ方を教えてください!

ソフトクリームはサーバーから出たてが一番(ビールと同じ)なので、できる限りすぐに食べるようにしています。なので、「スピード感をもって美味しく味わう」が大事です。

 

ソフトクリームはカップとコーンを選べることが多いのですが、私は断然コーン派です。コーンで〆ないとなんだか食べた気がしなくて。でも、ソフトクリームマニアの多数派はカップ派のようで、私以外のコーン派は聞いたことないかも。「コーンは雑味!」と言っていた友人もいます。ただ、フルーツ系のシャーベットっぽいソフトクリームは、コーンとの相性がイマイチなので、カップで食べることが多いです。

Q.ソフトクリーム好き「あるある」を教えてください

ソフトクリームを作り出す「サーバー」がどのメーカーか、チェックを必ずしています。また、その日のソフトクリームの調子をあらかじめ知りたいので、他のお客さんが食べているソフトクリームを食べる前につい見てしまいますね。

 

日本全国にソフトクリームはあるので、初めて行く場所ではソフトクリームの置物を無意識に探していることがよくあります。旅先のお土産屋さん、ショッピングモール、商店街などで発見ですることが多いんですが、視力が悪いので「ソフトクリームの置物かな?」と吸い寄せられて近づいてみると、全然違うものということもしょっちゅうです……。

 

また、「空きっ腹にソフトクリーム」が至高!ですので、朝何も食べないでソフトクリームを食べに出かけたり、仕事中にどんなにお腹が空いてもおやつをがまんして、アフター5のソフトクリームに備えたりしています。

アフター5のソフトクリームを楽しみに仕事をのりきる!/Getty Images

 

夏に食べる印象があるかもしれませんが、ソフトクリームの旬は秋から冬です! 暑いときに食べるとすぐにドロドロ溶けてきちゃって美味しくなくなるし、直射日光だと写真も上手に撮れないし……さすがに極寒だと体にこたえるので、ベストは涼しい秋かな~とは思いますが。寒くなると「ソフトクリームの時期になりましたね」とソフ友と話します。

Q.ソフトクリームのバリエーションについて教えてください!

同じミルクソフトクリームでも「乳脂肪系」「牛乳系」「生クリーム系」「チーズ系」「練乳系」「ヨーグルト系」などの味があります。同じ乳脂肪系であっても、乳臭さが際立つ味や、後味は牛乳っぽい味、練乳系でも牛乳寄りの練乳、コンデンスミルクのようなしっかり甘い練乳味など、お店ごとに細かい差異が多く、かなり奥深いのです。

 

食感についても、だいたい「ねっとり」「ふわふわ」「シャリシャリ」で分類していますが、さらに水分が多めだったり、ゆるかったり、硬かったりしますので、色々な要素を組み合わせて表現し、ブログでお伝えするようにしています。

 

ちなみに、ふわふわ系では「ソフトクリーム界のフェラーリ」と言われているカルピジャーニ社のソフトクリームサーバーで作られるソフトクリームが有名です。空気をたくさん含んでいて、エアリーでふわふわとしたホイップクリームのような食感のソフトクリームができます。

高久さんおすすめ「冬に食べたいソフトクリーム」3選

というわけで、冬こそソフトクリームが美味しく味わえる季節! 高久さんに「冬に味わいたいおすすめ濃厚系ソフトクリーム」のお店をピックアップしてもらいました。

「茶の池田や」(新宿)の生クリームバニラソフトクリーム

「新宿駅の西口地下街にあるお茶屋さんが販売しているソフトクリーム。抹茶はしっかりした苦味を感じられる濃厚なお抹茶味で、さすがお茶屋さんのソフトクリームと言うクオリティです。茶道を習っているのですが、お茶の先生にもオススメしちゃいました。

 

そして、抹茶ソフトクリームも美味しいのですが、生クリームバニラソフトの濃厚さは半端じゃない!! カルピジャーニ社のサーバーを使用していて、ふわっふわの食感は生クリームそのものです」(高久さん)

撮影/食べログマガジン編集部

「音更ぎょうざ 餃子の宝永」(戸越銀座)のなまらカマンベールプレミアムソフト

「北海道十勝音更町発の人気餃子店なのですが、餃子と同じく北海道産の素材を使用したソフトクリームも販売しています。食べた瞬間から口いっぱいに広がるチーズの香りがとにかく濃厚! チーズ好きにはたまらないソフトクリームです」(高久さん)

写真/お店から

「タピモ」(新大久保)の焼き芋ソフトクリーム

「今年9月にオープンしたばかりのお店です。新大久保のドン・キホーテの店頭コーナーにあり、一見カジュアルな雰囲気のお店なのですが、食べてみるときめ細かな食感&味わいはお芋そのまんまの超ハイクオリティなソフトクリーム。お芋のほくほく感すら感じられます」(高久さん)

写真/お店から

プロフィール

高久早苗
ソフトクリーム活動、通称“ソフカツ”に人生を捧げるソフトクリームマニア。ソフトクリームを年間300個以上食べ歩き、その様子をブログにアップ。カフェやレストランはもちろん、道の駅、物産展、アンテナショップ等、ソフトクリームのあるところはどこへでも出没。

http://sanabanana.blog89.fc2.com/

取材・文/川口有紀