国内外を問わず、多くの人を惹きつける街、京都。「京都通」もたくさん存在するなかで、手土産には何を選べばいいのか? そこでフードジャーナリストとして活躍し、京都にも足繁く通っている小松宏子さんにおすすめの品を選んでもらいました。誰に贈っても喜ばれる、ついでに自分のためにも買いたくなる手土産とは?

西京味噌のほのかな甘みと、こっくりした脂の甘みが絶妙の「蔵みそ漬」

味噌の焼ける芳しい香りとほのかな甘み、ふっくらやわらかで脂ののった魚の身。魚の味噌漬けは皆が好きな人気の高い料理です。今では、白味噌に漬けたものを広く西京漬けと呼んでいますが、本来は、京都の白味噌しか名乗ることのできない、西京味噌をベースにした味噌床に漬け込んだ魚や肉のことを言います。

「京都一の傳」は、西京漬けを作り続けて約100年の老舗。京都でも有数の老舗から取り寄せた西京味噌に、伏見の蔵元「松本酒造」の純米料理酒「厨酒」、「澤井醤油本店」の木樽で3年間熟成させた醤油などを合わせた秘伝の味噌床に、塩をして身を締めた魚の切り身を二昼夜以上漬け込みます。季節や気温、また魚の種類に応じて微妙に漬け込む時間を変える職人技が、ほかにはない繊細な美味を生み出します。この手間ひまかかる漬け方を、京都一の傳では「蔵みそ漬」と称しています。

魚はさわら、鮭、さばなどさまざまな種類を加工しますが、一番のおすすめは脂ののった銀だら。味噌の旨みと銀だらの脂の旨みが一つになって、ご飯のお供にはもちろん、日本酒が進むことは言うまでもありません。

上手に焼くには、ペーパータオルなどでしっかり味噌をふき取り、手で揉んでしわをつけたアルミ箔の上にのせ、充分に熱した魚焼きグリルでこんがりと焼きます。こうすることで、アルミ箔の皺に余分な魚の脂が落ちて、ふっくらかつさっぱりと焼き上がります。味噌だけでなく、味噌床に加える酒も醤油も京都の老舗の品を使用していますから、京都の美味土産にはまさに最適。年末に差し上げれば、正月の食卓が華やぐことでしょう。

銀だら蔵みそ漬 1切れ780[税込み価格]