まるでパリのモダンなパティスリーのよう! オシャレなカヌレ専門店が誕生

カリッとしてモッチリな食感にバニラの甘い香りがたまらないフランスの伝統菓子、カヌレ。東京にはいくつかカヌレをメインにした店があるが、カヌレ好きの心をときめかせる新たなカヌレ専門店「LE TREIZE(ル トレーズ)」が誕生した。

仕掛けるのは、バスクチーズケーキブームの火付け役となった「GAZTA(ガスタ)」を手掛けるパティシエ戸谷 尚弘さん。常に本物のおいしさを求める戸谷さんが作る絶品カヌレを紹介しよう。

店舗横は川沿いに続くプロムナードになっていて、ちょっとした散歩気分でカヌレを買いに行ける

場所は東京メトロ南北線「白金高輪」駅から4分ほど、新しく建った高層マンションの1階、大通りに面した側に店がある。

店舗はガラス張りになったモダンな外観。厨房でパティシエたちがカヌレを作る様子が外から眺められる。入口横には「ル トレーズ」のロゴと店のシンボル、カヌレとエッフェル塔が合体したイラストが描かれている。ちょっと不思議なイラストは、何だろうと思わず足を止めてしまいそうだ。

ダークブラウンで統一された家具や、フレームが金色のショーケースも高級感がある

ドアを開けると、そこは焼きたての菓子の甘い香りが満ちた空間。その場にいるだけでも幸せな気分になる。店内は販売スペースのみ。天井が高く、開放感のある空間は、壁やカウンターに大理石が使われ、シンプルながらシックな雰囲気。所々にアートが飾られ、パリにあるスタイリッシュなパティスリーのようだ。

数々の話題のスイーツを生み出した実力派パティシエ

深い知識と技術とでスイーツファンを楽しませてくれる戸谷シェフ

シェフパティシエを務める戸谷さんは、日本のパティスリーやレストランに勤めた後、フランスに渡り、パリやバスクの老舗パティスリーで本場の菓子をじっくり学んだ。帰国後、白金高輪にバスク菓子の店「メゾン・ダーニ」、バスクチーズケーキのブームを牽引した「ガスタ」、チーズアイスの店「カーサ デ ガスタ」と次々に話題のパティスリーをオープン。いずれの店も戸谷シェフのこだわりがいっぱいで、スイーツファンに長く愛される店になっている。

戸谷シェフオリジナルのヘーゼルナッツとチョコレートのカヌレ

その戸谷シェフの新展開がカヌレ専門店「ル トレーズ」だ。カヌレは本場ボルドーに何度も足を運んだほど、好きな伝統菓子の一つだったそう。その専門店を作ろうと思ったきっかけが、京都にある「カヌレ」という人気店のカヌレとの出会いだった。

「私の記憶の中にあるどのカヌレより、おいしかったんです」。感激した戸谷さんは、さっそく店主の下で学び、レシピを伝授してもらうまでに。そして、その製法を「自分なりの色を出していきたい」と戸谷さんなりに昇華。こうして「ル トレーズ」のカヌレが誕生した。

パティシエだけが知っている最高においしい瞬間のカヌレ

「カヌレの魅力は表面がキャラメリゼされたような、カリッとした外側と、しっとりとした内側との食感のコントラストにあります」と語る戸谷シェフ。しっかり焼き込んで周りをカリッとさせる、けれど中はレアのようにプルンとしっとり。この相反する食感のバランスにとことんこだわったという。

銅型はカヌレの理想の型だが、高価できちんとした手入れも必要になる

まずは型には熱伝導が良く、カリッと焼ける銅のカヌレ型を採用。そして扱いに手間がかかる蜜ろうも使用。本場と同じスタイルだ。

戸谷さんから全幅の信頼を寄せられている、店長の伊藤 ななさん

カヌレはとてもシンプルな菓子。それゆえに材料の吟味から始まって、仕込みの順番やタイミング、焼く温度などどの工程もおろそかにはできない。「一つ一つの工程がとても大事でどれ一つ欠かすことができないんです」と戸谷シェフはカヌレ作りの大変さを語る。

型から出したばかりのカヌレ。ツヤツヤとした照りは蜜ろうで作られた証

でき上がったカヌレは、外側がしっかり焼き上げられながらも、層が極薄で、なおかつ中はトロンとしたテクスチャーを保っている。まさに黄金比と呼べる食感のバランスだ。

ショーケース横の棚で最高においしいタイミングになるのを待つカヌレ

このカヌレを最高の状態で楽しんでもらえるように、店頭に出すタイミングにもこだわった。焼き上がって、型から取り出されたカヌレを網の上でしばらく冷ます。程よく粗熱が取れたとき、その状態が最高にカヌレのおいしい瞬間だ。この“おいしい瞬間”を楽しんでもらうために、一日に何回にも分けてカヌレを焼き、いつ訪れてもベストな状態のカヌレを提供できるようにしている。