濃厚な大人のメンチカツ

大きさも厚さも、いつも見るメンチカツより、ややボリューミーな印象

この「遠山のメンチカツ」(1,200円)はデミグラスソースがたっぷりとかかっているので見た目のインパクトがある。濃厚で重厚感があるソースはどんな味がするのか?メンチカツの中ってどうなのだろう?と見ているだけで想像が膨らむ。

ナイフとフォークで割ってみると、切っている最中から肉汁があふれ出す。やや粗びきにひいている牛豚の肉は、店内でミンチ状にして一から作っている。このメンチは肉の配合やひき加減により、肉感がより強く感じ、ジューシーさも一際目立つ。揚げ加減も絶妙で、コツを聞いたら、温度と時間だそうで長年培った感覚なのだとか。中のひき肉と外のサクッとした衣に濃厚でシックなデミグラスソースが合わさり、大人が好む味わいのメンチカツとなっている。

 

山本さん

ジューシーな肉汁とカリッとした衣のバランスはさすがの一言!

ブルーチーズがかおるオムレツ

艶やかで綺麗なオムレツは見ていると早く中を割って見たくなるほど

洋食屋で定番のオムレツだが、「洋食ビストロTŌYAMA」ではソースやケチャップなどがかかっていない。この「ブルーチーズたっぷりのオムレツ」(2,200円)の見た目はとても綺麗な形でおいしそうな焼き色が付いており、中の様子が気になるところ。遠山氏いわく「フランス産のブルーチーズと、国産の赤卵を3つ溶いて、生クリームとバターを入れてチーズと合うようなコクを出しています」とのこと。

ナイフを入れると、ジュワーッとチーズがあふれ出る

中心を割ってみると中から半熟の卵とブルーチーズが湯気と共にあふれ出した。食べてみると、卵のほんのりと甘く、優しくてまろやかな風味と、やや個性的で塩味の利いたブルーチーズがお互いを高め、最高の味わいを演出している。

 

山本さん

ブルーチーズとふわふわの卵との相性が、これまた合うんです。

馬肉のイメージが変わるカルパッチョ

一見、馬肉とは分からない立体的でアーティスティックな盛り付けのカルパッチョ

最初に馬肉を使ったカルパッチョとは聞いていたけれど、見た瞬間にコレが馬肉?と驚いてしまった。馬肉というと大体は、馬刺し盛りのようなイメージが強く、あとは鍋や焼肉がメジャーである。しかもこの「熊本県産 馬刺しのカルパッチョ」(3,000円)は盛り付けも華やかな印象で、この段階では味の想像がつかない。

フレンチのように綺麗な盛り付けをする。見た目で客を楽しませるのも、この店の魅力の一つだ

フォークで一口大にすくってみると、大豆ほどの大きさにカットされた馬肉がカルパッチョのソースをまとい、パルメザンチーズが雪のようにトッピングされている。

口に入れると馬肉の歯応えとみずみずしいうまみが際立ち、シェリービネガーとグリーンマスタード、玉ねぎを使ったソースとチーズがよく絡み、今までに食べたことがない馬肉の魅力を発見できた。「馬肉の新たな味わい方を知ってもらおうと考案したメニューです」と遠山氏が言うように、馬肉へのイメージがすっかりと変わった。

今回紹介したのはすべてアラカルトだが、コースも2種類あり、行った日の気分で楽しんでもらいたい。お酒がついすすんでしまう、どれも濃厚でかつ繊細な印象深い料理ばかり。どの料理も盛り付けの美しさが一級品で、店内の雰囲気もとてもラグジュアリー、まさに大人のための洋食レストランだと言える。デートや会合、記念日など、さまざまなシーンで気軽に利用したいなと思える、あまり人には教えたくはない、とっておきの隠れ家的なお店である。

※価格は税込。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:千葉英里
文:千葉英里、食べログマガジン編集部