超希少な羊肉のおいしさを直火焼きで引き立てる!

〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー! 食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、まだまだ知られていないとっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。ここでは、食をこよなく愛するシンガーソングライター嘉門タツオさんの固定観念を覆したという、超希少な羊肉を扱う名店を深掘り!

教えてくれる人

嘉門タツオ
1959年3月25日大阪府茨木市生まれ。1983年「ヤンキーの兄ちゃんのうた」でデビュー。「ゆけ!ゆけ!川口浩!!」「小市民」「鼻から牛乳」「替え唄メドレーシリーズ」「アホが見るブタのケツ」などヒット曲多数。CDリリース、ライブ、TV・ラジオ出演、執筆、SNS発信と幅広く活躍中。

流通量1%以下の国産羊のなかでも、特に貴重なホゲットを堪能できる「ひつじの新町や」

出迎えてくれたのは、見覚えのある顔の黒い羊

ご存じかもしれないが、日本国内で羊はほとんど飼育されていない。羊肉の流通量のうち国産はわずか1%未満。オーストラリアやニュージーランドからの輸入品が大半を占めている。

社団法人中央畜産会の統計によると、2017年の時点で羊毛用も含めた家畜の頭数は約1万8,000頭。全国1位の北海道で1万頭ほど、そして2位の長野県で1,000頭ほど。その非常に貴重な国産羊を一頭買いするのが、東京の門前仲町にある「ひつじの新町や」だ。

食べログの点数は3.31で口コミは14件。コロナ禍直前の2019年12月に移転した影響で、点数がリセットされたのが大きな理由だろう。

※点数は2022年7月時点のものです。

移転前4席だったテーブル席は現在24席。予約しやすくなり活用シーンの幅も広がった
 

嘉門さん

友人に連れて行ってもらって、すっかり信州新町産の顔が黒い羊、サフォークの生後1〜2年の肉、ホゲットの虜になりました。これが羊なのか!と羊の概念が変わるおいしさでした。

坪庭から優しい光が差し込むカウンターは12席

嘉門さんが言う通り、羊肉の仕入先は長野県長野市の信州新町。地区全体の出荷量は年間わずか200頭ほどだ。

「純粋なサフォーク種は繁殖力が非常に低いんです。自力で母乳を飲めない個体も多く、つきっきりで面倒を見なくてはいけません」と教えてくれたのは店長の岡祐介さん。海外から輸入されるサフォーク種は育てやすく品種改良されたものがほとんどで純血種はほぼ流通していないという。

信州新町ブランドのサフォークは、生後1〜2年のホゲットであることも重要。生後1年未満で肉が柔らかいラムと、生後2年以上で香りが力強いマトンのちょうど中間、両方の魅力をあわせ持つ。18年前の創業から生産者と深い関係を築いてきた「ひつじの新町や」だからこそ、国産羊の需要が高まっている現在も安定して仕入れることができるのだ。

「羊が一番偉いんだよ」が口癖だった前マスターの思いと技術を受け継ぐ岡さん
 

嘉門さん

丁寧に切ったり剥がしたりして、愛情込めて捌かれた40以上の部位。グラデーションの美しさが見事で、それぞれの味、歯応えの変わる様が楽しめます。元々は長野出身のマスターがお一人で全てを仕切られていたのですが、有望な後継者の出現により、より確かなシステムが確立しました。